アパートの鍵貸します(アパートのかぎかします、 The Apartment)は、1960年制作のアメリカ映画。ビリー・ワイルダー監督作品。同年のアカデミー賞にて、作品賞、監督賞など5部門受賞した。
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The Apartment (1960) / アパートの鍵貸しますのあらすじ
1959年、12月。従業員31,259名を擁するニューヨークの保険会社。19階の大部屋に勤める C. C. バクスター(ジャック・レモン)。勤続3年10カ月、礼儀正しく、数字に強く、押しに弱い”バド”の週給は94ドル70セント。
セントラルパーク近くの家賃月額85ドルの (くつろげて、独身向き) アパートに暮らすバドは、なし崩し的に続いている「バドの部屋のまた貸し」を当てにし私生活に割り込んでくる課長ら上司の、色恋の絡む、あってないような空き予約をなかなか断り切れずにいた。管理職の立場を利用し、昇進への口添えを約束し、協力的な平社員バドの部屋を逢い引きの場所として拝借する。ラブホテルのない時代。
2A号室で夕方から深夜に及ぶ、バドのお得意さまたちが発する、”愛情の交歓”が引きも切らない様子を聞くにつけ、バドへの視線が生温かくなっている隣人、ドクター・ドレイファス(と妻ミルドレッド)。 隣人夫婦の思い込みから生じている詮索を気にしながらも、「自分の部屋に帰りたいときに帰れない」私生活と引き換えに、いつの日かよい人事考課から昇格につながるであろうと自分を納得させるバドが思いを寄せているのは、エレベーターガールのフラン・キューベリック(シャーリー・マクレーン)。
社内の誰からの誘いにも”なびかない”美しいフランから見れば、バドは紳士的な、同じ会社の社員に過ぎなかった。二人が発展しないのには、バドとは無関係の秘かな、フランの意思一つでは抜け出せない、シリアスな理由があった。
ある夜、常連カークビーとシルビアの”チェックアウトタイム”が一時間以上遅れたのちにバドがようやく手に入れた神聖な安息の時間は、眠りに落ちる間もなく破られてしまう。寝入りばなの一本の電話をつい取ってしまったことから、断り切れず冬の寒空に放り出され、電話の主、総務課ドービッシュのミスも重なり、今回バドは明け方まで部屋に入れず、風邪をひき最悪の出勤をする。19階から社内電話を使い、自分の部屋の予約を順繰りに調整し、寝る時間を確保した発熱患者バドに、重役 シェルドレイクから呼び出しがかかる。待ち望んだ日がやってきたと直感したバドは、フランの箱に乗って27階の個室へ馳せ参じる。しかし、個室で始まった会話は不穏さを帯び始め、課長たちに取り入って昇格の機会をうかがうバドの陰謀は筒抜けであること、風紀を乱したことへの叱責(しっせき)に変わっていく。噂を嗅ぎつけていたシェルドレイク部長は、バドに驚くべき話を持ちかけてくるのだった。条件を飲むしかなくなり、チケット2枚を渡され解放されたバドは、20時30分上演の映画に、憧れのフランを誘いだそうとするのだが─。
自殺未遂、暴行。そして告発。大波乱のイブとクリスマスを経たのち、最初から分かり切っていた通りに引き離された二人。膝に45口径の古傷を持つバドとスペルのダメなフランは、転がり込んだ現実に喜ぶものの、それぞれが実は心の奥に何かが眠っていたことに気づく。隣人のドクターの助けを得て何とか問題を解決し、どこまでも心優しいバドは、自分をごまかしていることに直面したいま、手に入れた27階の個室を守り通すことができるのか─
年末6週間、そしてイブ、新年で終わる物語。
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